骨粗鬆症(骨粗しょう症)は
どんな症状?
原因や予防法、治療法について解説
骨粗鬆症(骨粗しょう症)とは
⾻粗鬆症(⾻粗しょう症)とは、⾻が弱くなり⾻折しやすくなる病気です。⾻粗鬆症になると、わずかな衝撃で⾻折してしまうことがあります。
一般社団法人骨粗鬆症学会によると、日本国内の患者数(40歳以上)は、女性980万人・男性300万人と推定されています。さらに、骨粗鬆症による骨折の発生率は、国内において上昇傾向にあります。
痛みや⾃覚症状がないことも多く、⾻折を防ぐためには定期的な⾻密度検査による早期発⾒と治療がとても⼤切です。
SBC東京医療大学附属クリニックでは、⾻密度検査が受けられるだけではなく、⾻粗鬆症の治療や運動による指導も⾏っています。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)の症状
骨粗鬆症自体に痛みはなく、自覚症状を感じにくいため、知らぬ間に進行している場合があります。背中が丸くなってきた、身長が縮んできた、背中や腰に痛みを感じるようになってきた、などの症状が段階的に現れると、骨粗鬆症を発症している可能性が考えられます。
そして徐々に弱くなった骨に、上下から強い圧力がかかると圧迫骨折となり、強い痛みがともないます。
転倒する、重い物を持つ、といった日常の動作で圧迫骨折が起こるリスクがあります。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)により
骨折しやすい部位
骨粗鬆症で骨がもろくなると、骨折しやすくなります。
とくに骨折が起こりやすい部位は、以下のとおりです。
- 背骨・腰骨
- 手首
- 脚のつけ根
- 腕のつけ根
骨折すると強い痛みを感じますが、自らの体重を支えられなくなり、知らぬ間に背骨が骨折しているケース(脆弱性骨折)もあります。その場合は強い痛みを感じないため、とくに高齢者は骨折に気付かない方もいるようです。
リスクについて
骨粗鬆症の恐ろしいところは圧迫骨折だけでなく、他の疾患を併発させるリスクがあることです。
骨粗鬆症により一度骨が折れると、連鎖的に別の部位でも骨折しやすくなります。次第に背骨のバランスが悪くなり、身体が丸まってしまいます。これによって、消化器・呼吸器(肺)・心臓なども圧迫されて、機能障害や機能低下を引き起こすリスクがあるのです。
さらに、大腿骨と呼ばれる脚のつけ根部分を骨折した場合、歩くことが困難になり入院が必要になります。運動機能などが徐々に失われて寝たきりとなり、やがて認知症へとつながり、最終的に死亡リスクが高まる恐れがあるのです。
したがって骨粗鬆症は、定期的な検査による早期発見・早期治療がカギとなります。
骨粗鬆症の早期発見のために
「骨密度検査」を
骨粗鬆症によるリスクを回避するには、早期発見のための定期的な骨密度検査が重要です。骨密度検査は、骨の強度に必須の成分を計測して、骨折の危険性や骨粗鬆症の診断をする検査です。お近くの整形外科クリニック等で受診できます。
とくに早めに閉経を迎えた女性や高齢の方は、骨粗鬆症になるリスクが高いといいます。男女限らず40歳になったら、現在の骨密度を把握しておきましょう。
骨密度検査の詳細はこちら
このような方は
定期的に骨密度検査をしましょう
下記のチェック項目に該当する方は、
早めの骨密度検査をおすすめします。
チェック項目
- 特に更年期を迎えた45歳以上の女性
- 50歳以上の男性
- つまづいた、ころんだ、しりもちをついた、等で骨折したことがある方
- 骨密度の低下や骨量の減少を起こしやすい病気になっている、
それを引き起こす薬を服用している方 - 姿勢が悪くなった、身長が4cm以上縮んだ方
- 家族に骨粗鬆症や大腿骨を骨折した人がいる方
- 定期的な運動をしていない方
- 痩せている方
骨粗鬆症(骨粗しょう症)の原因
骨は新陳代謝により、古くなった骨を壊す「骨吸収」と新しい骨を作る「骨形成」が繰り返されて骨密度が保たれています。しかしこの骨の新陳代謝のバランスが崩れ、骨量が補われずに減少すると骨粗鬆症を発症します。
新陳代謝のバランスが崩れる原因は、主に次の4つです。
加齢による骨量の減少
骨量は男女問わず20歳頃にピークを迎え、20〜40歳半ばまでは一定の骨量を保ちます。しかし50歳頃を目安に骨量が減少し、とくに女性はホルモン変化で激減します。
さらに加齢によってカルシウムの吸収率が低下したり、吸収を補助する役割のビタミンDの生成量が減少したりすることで、骨量が減少してしまいます。
閉経による女性ホルモンの低下
女性の骨量が激減してしまうのは、閉経によって女性ホルモンが低下するからです。女性ホルモンに含まれるエストロゲンは、古くなった骨を壊す作用(骨吸収)を抑制します。
そのため、閉経により女性ホルモンが少なくなると、骨吸収の作用が強まり、骨形成とのバランスが崩れて骨量が減少するのです。
実際に骨粗鬆症は女性の罹患率が高く、患者さまの8割以上が女性であるといわれています。
生活習慣による栄養や筋力の不足
不健康な生活習慣は、将来骨粗鬆症となるリスクを高めます。
カルシウムなどの栄養素は、カルシウムを貯蔵して丈夫な骨を形成する成長期に欠かせません。この時期に過度なダイエットでカルシウム不足に陥ると、将来的な骨量に大きく影響してしまいます。
また、骨はある程度の負荷がかかることで細胞が活性化し、強い骨を作ります。運動不足は筋力が低下するのはもちろん、骨ももろくなりやすいといえます。さらにアルコールの飲み過ぎ、タバコなども骨粗鬆症のリスクを高める原因となります。
病気や薬による影響
別の病気や薬が骨に影響を与えて、骨粗鬆症を引き起こしている場合があります。とくに関節リウマチ・内分泌性疾患(副甲状腺機能亢進症)・生活習慣病(糖尿病)などは、骨量を減少させてしまいます。
また薬の服用、とくにステロイドの長期にわたる使用や、ホルモン療法なども骨粗鬆症の原因になることもあります。ただし、薬は必要があって処方されているはずなので、個人の判断での服用中断はせず、気になることがあれば必ず担当医に相談するようにしてください。
骨粗鬆症の治療方法
⾻粗鬆症は、内服薬や注射による治療を⾏います。
⾻折をしている場合は、あわせて⾻折に対する治療が必要となります。
製品によって投与周期や効果が異なるため、患者様の症状や⽣活環境に合わせて医師が薬の処⽅を⾏います。
取り扱いのある治療薬
名称 | 効果 |
---|---|
エルシトニン | 骨を壊す働きを抑えます。 |
ボンビバ | 新しい骨を作る働きを促進します。 |
イベニティ | 骨を壊す働きを抑え、新しい骨を作る働きを促進します。 |
プラリア | 骨を壊す働きを抑え、骨が作られる働きとのバランスを保ちます。 |
テリボン | 骨を壊す働きを抑えます。 |
※転倒防止を目的としたリハビリテーションも合わせて行うことが大切です
骨粗鬆症(骨粗しょう症)を
予防する方法
骨粗鬆症は、誰にでも起こりうる病気です。何歳になっても健康で歩き続けるために、今からできる予防法を日常に取り入れてみましょう。
生活習慣の改善
生活習慣の改善は、骨粗鬆症の予防につながります。具体的には、筋力を増やす運動習慣を身につける、バランスのよい食事を心がける、過度な飲酒や喫煙を控えるなどです。身体を動かすことで筋力をつけ、骨の代謝を活性化させたり、カルシウムをはじめとした栄養素を取り入れることで、骨の成長を促します。とくに女性は、過剰なダイエットを控えましょう。
また、積極的に日光を浴びることも推奨されます。太陽の光は、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを生成します。なるべく外に出て運動をする、窓際で日光浴をするなどの習慣をつけるとよいでしょう。骨のカルシウム吸収の一助となり、健康的な骨の形成につながります。
食事の改善
骨密度を保つために必要な栄養素を積極的にとりましょう。具体的には、次のような栄養素が骨の形成に役立ちます。
- カルシウム(牛乳・乳製品・大豆製品など)
- ビタミンD(卵・しいたけ・サンマなど)
- ビタミンK(納豆・ほうれん草・キャベツなど)
なお、骨粗鬆症予防のための目安となるカルシウムの摂取量は、1日700〜800mg程度です。
転倒予防
骨粗鬆症予防の最終目的は、いわば骨折を防ぐことです。骨粗鬆症自体に強い痛みはなく、骨折で痛みが生じたり、さまざまなリスクがともないます。寝たきりとなってしまう原因の80%以上は、転倒による大腿骨の骨折です。そのため転倒する原因の排除、室内環境の改善は、転倒による骨折の予防につながります。
室内の段差やつまづきやすい電気コード、足元の見えにくい照明不良など、なるべくバリアフリー化し、転倒予防することが有効です。
骨粗鬆症についてよくある質問 Q&A
骨粗鬆症とはどんな病気ですか?
骨粗鬆症は、骨の密度が減りスカスカになってしまう状態です。日常生活のわずかな衝撃で骨折してしまうこともあるので、早期での発見や治療が大切な病気です。
若い時期は骨粗鬆症の心配はないでしょうか?
若いからといって、骨粗鬆症になる可能性がないとは言えません。
遺伝的に骨密度が低い方や、ステロイド剤を使用したことがある方、食生活が極端に偏っている方、糖尿病や甲状腺の病気の方など、年齢に関係なく骨粗鬆症になる可能性がある方はいらっしゃいます。骨粗鬆症が進行しているのでいまさら治療しても意味がないと思っています。
骨粗鬆症がかなり進行した状態でも、近年では薬の進歩により治療が可能になってきました。
また、現在の症状以上にひどい状態になったり、併発する症状を避けるためにも治療を行うことをおすすめします。骨粗鬆症は治療を行って、本当に良くなるのでしょうか?
骨粗鬆症は、治療を行うことで劇的に改善する可能性のある病気なので、ぜひ一度ご来院ください。
骨密度検査はいくらかかりますか?
腰椎・大腿骨の測定の場合、1割負担で450円、3割負担で420円、全額自己負担で4,500円です。(葛西整形外科以外)
前腕の測定の場合、1割負担で140円、3割負担で420円、全額自己負担で1,400円です。(葛西整形外科のみ)
検査の違いや詳細については、こちらの記事で解説しています。
骨密度検査のご案内(測り方・流れなど)