骨年齢の検査・測定法について
骨年齢に影響を与える要因や
骨粗鬆症との関係を解説
実年齢から考える骨年齢とは?
骨年齢とは、骨密度(骨の中のカルシウム量の密度)を測定する事により、実年齢に対する骨密度がどの年齢に相当するかを示したものです。骨年齢を図ることによって、骨粗鬆症や骨折リスクの早期発見や予防が可能になります。
骨年齢が高いことによる
身体への悪影響
骨密度が低く骨年齢が高いほど、骨粗鬆症につながるリスクは高まります。ここでは骨粗鬆症の原因や症状を解説します。
骨密度低下による骨粗鬆症
骨密度とは、骨の量や強度を表したものです。骨密度が高いほど丈夫で健康的な骨であるといえます。しかし、加齢や生活習慣などで骨密度が低下すると骨が弱く折れやすくなり、骨粗鬆症を発症する可能性が高まります。骨粗鬆症はわずかな外力で骨にヒビが入ったり、折れやすくなる病気です。
骨粗鬆症の症状
次のような症状があったら、骨粗鬆症を発症している可能性があります。
- 背中・腰が曲がる
- 身長が縮んでくる
- 腰や背中が痛む
骨密度の低下により骨がもろくなる骨粗鬆症は、強い自覚症状がないことが特徴です。そのため、知らぬ間に症状が進行していることも少なくありません。定期的な検査が大切になります。
骨粗鬆症については、こちらのページでも解説しています。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)
カルシウム不足による肌質の低下も
カルシウム不足は骨密度低下や骨粗鬆症を招くだけでなく、肌質の低下につながることもあります。カルシウムは歯や骨の形成の他、肌を保湿する役割も果たします。カルシウム不足で骨年齢が高く骨密度が低い方は、肌に潤いが足りず、老け見えするともいわれています。
骨年齢に影響を与える要因
骨年齢に影響を与える要因は、主に加齢・生活習慣・薬や病気の3つがあります。
加齢によるもの(女性ホルモン・体内環境の変化)
骨密度は20歳頃をピークに、以降は加齢とともに徐々に減少していきます。50歳頃になると大きな減少がみられ、特に女性の骨密度が激減します。これは閉経にともなって、女性ホルモンが減少することが原因です。
また加齢によるカルシウムの吸収率の低下や、運動量の低下による体内環境の変化も原因と考えられます。
生活習慣によるもの(運動不足・食生活の偏り)
骨密度や骨年齢は、運動不足や食生活の偏りなどの生活習慣からも影響を受けます。他にも無理なダイエットによる栄養不足や過度なカフェインの摂取、喫煙習慣なども骨密度低下の原因につながります。
骨粗鬆症は50代や60代の病気の認識が強いですが、実は若年層でも発症するリスクがあります。該当する方は、今一度生活習慣を見直してみましょう。
薬や病気によるもの(糖尿病やステロイド等)
服用している薬や病気によって、骨密度や骨質に悪影響を与えるケースがあります。例えば、糖尿病などの生活習慣病やステロイドなどがあげられます。このように特定の病気や薬の影響によって二次的に起こる骨粗鬆症を「続発性骨粗鬆症」といいます。
とはいえ薬はもともとの病気を治すために服用しているものです。自己判断で服用を中止せず、不安な場合は担当医に相談するようにしましょう。
骨年齢(≒骨密度)の
検査・測定と計算の方法
骨年齢(骨密度)の定期的な検査は、骨粗鬆症の予防と早期発見のために重要です。骨年齢(骨密度)の主な検査・測定・計算方法をご紹介します。
レントゲン検査
レントゲン検査では手の骨の数や形から成熟度を算出し、骨年齢を測定します。特にこどもの骨年齢の測定で使用され、骨年齢から子どもの将来的な成長度の予測が可能です。
DXA法
DXA(デキサ)法は、2種類のX線を用いて骨に含まれるミネラル成分(カルシウムやマグネシウム)を計測し、骨密度を測定する検査です。数ある検査方法のなかでも最も正確に測定できる検査方法といわれています。
腰椎(背骨)や大腿骨近位部(脚のつけ根)を測定することで、骨粗鬆症の診断が可能です。測定部位に内固定材料が入っているため、極度の肥満であるなどの理由で検査が困難な場合は、前腕の骨を測定することもあります。
QCT法
腰椎の骨密度を3次元的に測定する検査方法です。CTを用いた検査で、「定量的CT測定法」とも呼びます。
MD法
アルミニウムの板に両手をのせてX線撮影する検査方法です。左手第2中手骨とアルミスロープの濃淡差を比較し、骨密度を測定します。
QUS法
超音波を使用してかかとの骨密度を測定する検査方法です。X線不使用で、妊婦や子どもでも検査できます。
採血や尿検査
骨折や骨粗鬆症の治療方針を定める際に、採血や尿検査を実施します。処方する薬の副作用を確認する目的として測定します。ただしいずれも骨年齢(骨密度)の検査においては、補助的な位置付けの検査になります。
骨年齢の検査は
このような方におすすめ
- 特に更年期を迎えた45歳以上の女性
- 50歳以上の男性
- つまづいた、ころんだ、しりもちをついた、等で骨折したことがある方
- 骨密度の低下や骨量の減少を起こしやすい病気になっている、それを引き起こす薬を服用している方
- 姿勢が悪くなった、身長が4cm以上縮んだ方
- 家族に骨粗鬆症や大腿骨を骨折した人がいる方
- 定期的な運動をしていない方
- 痩せている方
骨密度の検査については、こちらのページで詳しく解説しています。
骨密度検査のご案内(測り方・流れなど)
骨粗鬆症の治療方法
骨粗鬆症は、適切な治療を行うことで改善の見込みがある病気です。早期での発見や治療が重要な病気ではありますが、すでに症状が進行したケースでも、近年では治療が可能になってきました。骨粗鬆症の治療では、主に薬物療法や生活指導を行います。
骨粗鬆症については、こちらのページで解説しています。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)
薬物療法
骨を壊す働きを抑えたり、新しい骨を作る働きを促進する薬などを処方します。いくつか種類がありますが、患者さまの症状や生活習慣に合わせて適切な薬が選択されます。合わせて骨折を避けるための転倒防止を目的として、リハビリも行います。
生活指導(食事・運動等)
薬物療法と併せて、生活習慣の改善も効果的です。積極的なカルシウムやビタミンの摂取、適度な運動の習慣化など、健康的な生活習慣への改善を医師がサポートをしていきます。