骨密度検査のご案内
(測り方・流れなど)
骨密度検査とは
骨密度検査とは、骨の密度や強度に必須とされるカルシウム・マグネシウムなどのミネラル成分を測定する検査のことです。骨密度検査によって骨粗鬆症の診断をしたり、骨折のリスク評価をしたりできます。
骨密度とは
骨密度とは、骨量や骨の強度を示す指標のことです。若年層の健康的な骨密度の平均と比較して、骨密度がどのくらいあるのかを表します。骨密度が低いと、骨粗鬆症(骨粗しょう症)になるリスクが高まります。
また最近では、骨密度の他に「骨質」も注目されるようになりました。骨質とは、骨の細かい構造や代謝の速さなどで示される骨の質の指標のことです。この骨質の低下によっても、骨折のリスクが上がるといわれています。
骨密度による影響が7割・骨質による影響が3割の割合で骨の強さに関係しており、この2つが低下すると骨粗鬆症につながりやすく、骨折しやすくなるといえます。
骨密度検査の意義
骨密度や骨質が低下すると、骨粗鬆症のリスクが高まります。骨粗鬆症とは、骨が脆弱化することでわずかな外力でも骨が折れやすくなる病気のことです。骨粗鬆症は自覚症状が少なく、いつの間にか進行しているケースも多くあります。
発症を未然に防ぐ、または進行を食い止めるためにも、定期的な骨密度検査で早期発見と治療が重要なのです。
骨粗鬆症については、こちらのページでも詳しく解説しています。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)はどんな症状?原因や予防法、治療法について解説
特に40代以降の女性の方は定期的な骨密度検査が重要
女性の骨密度は、閉経とともに急激に低下します。女性は閉経を迎えると、女性ホルモンの分泌が激減してしまうためです。女性ホルモンのエストロゲンは、古い骨を壊す骨吸収の働きを緩和し、骨のカルシウムが失われるのを防ぐ作用があります。
ところが女性ホルモンが激減すると骨吸収の働きが強まってしまい、骨密度が低下してしまうのです。このことからも、骨粗鬆症は男性よりも女性に発症しやすい病気といわれています。
そのため40代以降を目安に、女性は定期的な骨密度検査を推奨されます。
このような方は
定期的に骨密度検査をしましょう
下記のチェック項目に該当する方は、
早めの骨密度検査をおすすめします。
チェック項目
- 特に更年期を迎えた45歳以上の女性
- 50歳以上の男性
- つまづいた、ころんだ、しりもちをついた、等で骨折したことがある方
- 骨密度の低下や骨量の減少を起こしやすい病気になっている、
それを引き起こす薬を服用している方 - 姿勢が悪くなった、身長が4cm以上縮んだ方
- 家族に骨粗鬆症や大腿骨を骨折した人がいる方
- 定期的な運動をしていない方
骨密度検査の方法
骨密度検査は、整形外科のクリニック等で受診できます。検査方法は、主に「DXA(デキサ)法」「超音波法」「MD(エムディ)法」の3つがあります。それぞれの特徴をご紹介します。
DXA(デキサ)法
DXA(デキサ)法とは、2種類のX線を測定する箇所に照射する骨密度検査のことです。二重エネルギーX線吸収測定法とも呼ばれます。ほぼ全身の骨を測定できますが、主に腰の骨・脚のつけ根の骨を測定するのが一般的です。前腕のみの骨密度を測れるDXAも存在します。DXA法は検査時間が短く、正確性に優れており、骨密度検査の標準的な検査法として推奨されています。X線による被ばく量は、人体に影響がないわずかなもので、安全性が高いこともメリットです。
なお、SBC東京医療大学附属クリニックでも骨密度検査にDXA法を採用しています。
超音波法
超音波法とは、超音波を用いてかかとやすねの骨密度を検査する方法のことです。超音波を当てた際の骨に伝わる速度を基に骨密度を測ります。簡易的ですぐにでき、超音波を用いるため妊婦の方にも検査が可能です。
MD(エムディ)法
MD(エムディ)法とは、両手をカセッテにおき、両手の間にアルミスロープを置いてX線撮影し、基本左手第2中手骨とアルミスロープの濃度を比較して骨密度を測定します。
骨密度の正常値
骨密度が80%以上の場合、多くは「正常」と判断されます。しかし骨粗鬆症を診断する場合、脆弱性骨折の有無によって正常とされる骨密度の値が異なります。脆弱性骨折とは、本人の自覚なしに微量な力で生じる骨折のことです。
判断基準は以下のとおりです。
〈脆弱性骨折のあり・なしと骨密度による診断基準〉
脆弱性骨折あり |
骨粗鬆症と診断される |
---|---|
脆弱性骨折なし |
骨粗鬆症と診断される |
脆弱性骨折なし |
骨量減少と診断される |
骨粗鬆症を診断する場合は、上記のように脆弱性骨折あり・なし、それに応じた骨密度の値により診断されます。
骨密度を上げる方法
骨密度減少には複数の要因がありますが、生活習慣によるところも大いにあります。したがって、食事改善(カルシウムやビタミンDの摂取)や適度な運動習慣によって、骨密度は上げられるといわれています。
また喫煙や過度な飲酒も骨折リスクを高めるとされているため、禁煙をする、飲酒の量を控えるなども推奨されます。骨密度を上げることで、将来の骨粗鬆症発症のリスクが抑えられ、骨折リスクを回避できるでしょう。
骨粗鬆症については、こちらのページでも詳しく解説しています。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)はどんな症状?原因や予防法、治療法について解説
当院の骨密度検査について
当院の骨密度検査では、安心安全なDXA法を採用しています。腰椎・大腿を測定するタイプと、前腕を測定するタイプの2種類があります。具体的な流れと費用を合わせて、当院の骨密度検査についてご紹介します。
腰椎・大腿タイプ
当院は整形外科・リハビリテーション科を中心とした5院(葛西整形外科以外)で腰椎・大腿タイプのDXA法で骨密度検査を実施しています。骨密度検査による骨粗鬆症の診断においては、腰椎(背骨)と大腿骨近部位(脚のつけ根)の両者を測定することが適切とされています。
検査の具体的な流れ
腰椎・大腿タイプの検査の流れは次のとおりです。
- 下着などの金属類、ボタン、湿布など検査に影響のある着衣ははずしていただき、骨密度装置の検査台に寝て検査を開始します。
※腰椎や大腿骨に金属のある方は事前にお申し付けください - 腰椎を検査するときは腕を挙げ、膝を曲げて膝下に台を入れます。
- 股関節を検査するときは腕は降ろし、膝を伸ばして脚を内向きに固定させていただきます。
- 検査中は体をなるべく動かさないようにお願い致します。息止めは必要ありません。検査時間は約10分程度です。
費用
当院の骨密度検査の費用は、腰椎・大腿骨の測定の場合、1割負担で450円、3割負担で1,350円、全額自己負担で4,500円です。
前腕タイプ
当院では、葛西整形外科のみ前腕タイプのDXA法で骨密度検査が受けられます。腰椎・大腿骨タイプより検査時間が短く、費用も安く抑えられるのが特徴です。
また大腿骨に内固定材料が入っている方や、極度の肥満の方など、何らかの理由で腰椎・大腿骨での検査が難しい場合に、前腕タイプのDXA法で対応できます。